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論文1 「Allgemeine Psychopathologie」(Jaspers,K)について
<Subtitle>分裂病の治癒可能性に焦点をおいて

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論文1 Top Page (序文)
1、分裂病の治癒可能性に対するヤスパースの見解
2、分裂病は脳病か
 イ、ヤスパースの見解の概要
 ロ、疾患単位を理念とする研究の概要
 ハ、疾病学に限局した場合の科学的背景
3、分裂病の症状の心理学的理解の可能性について
 イ、ヤスパースの見解の概要
 ロ、分裂病に於ける精神療法の可能性
4、精神病理学と脳病理学の共働の道
 イ、ヤスパースの現象学の特徴
 ロ、真の理論と精神病理学の理論
 ハ、両者の共働の今日的意義
 ニ、分裂病の脳所見解明後の問題
5、治癒過程考察の欠如について(ヤスパースの)

おわりに
参考文献
おわりに

実際の治癒過程の究明は治癒への契機を目標としなければならないだろう。第一には憎悪期の分裂病の治癒への契機の究明であり、第二には、その後の治癒経過の追跡により、新しい段階に於ける治癒への契機のそれである。更に第三には様々の段階を貫くところのものについての究明であるだろう。契機を考えるとおそらくヤスパースの哲学の動きのなさに(未だ気分的なものだが)とは違った型の哲学が背景に必要とされるのかもしれない。この概念を明確にする為には臨床例をとりあげた文献を必要とするが、目下のところフランクルの実存分析の分裂病への転用の可能性を考慮している荻野氏の見解が参考になるだけで、他に知らない。又、病因内寛解という事実は先に第三のものとしてあげた問題が心理学的に究明されるかもしれないという想像を抱く。

参考文献

ヤスパース 「理性と実存」
カント 「純粋理性批判」 篠田英雄訳 岩波
村上仁 「精神分裂病の心理」 弘文堂 昭和23年
村上仁 「異常心理学」 岩波 1965年
ヤスパース 「ストリンドベルクとファンゴッホ」 1925 村上仁訳 みすず書房
荻野恒一 「精神病理学入門」 誠信書房 1964
村上仁、由良了三
「分裂病の精神症状をいかに理解すべきか---影響症状群を中心として---臨床講議第10巻6号」
 昭和36年
荻野恒一 「VisionとStimme---幻覚の人間学的研究---精神神経学雑誌64巻9号」
村上仁 「幻覚 異常心理学講座第二部」 みすず書房、昭和29年
新福尚武、池田数好 「人格喪失感 異常心理学講座第二部」 昭和29年
西丸四方 「痴呆、異常心理学講座第二部」 昭和29年
西丸四方 「精神病の概念」 昭和29年
荻野恒一 「妄想」 昭和29年
村上仁 「精神病理学総論(一)---哲学的人間学派の精神病理学---」 昭和29年
高臣武史 「言語と思考の病理---主として分裂性言語について---」
ミンユフスキー 「精神分裂病」
 1927 村上仁訳 みすず書房
ビンスワンガー 「精神分裂病」 1957 新海安彦、宮本忠雄、木村敏訳
         上巻 みすず書房 昭和39年 下巻 昭和38年版
アンリ、バリュック 「精神病と神経症」 1951 村上仁、荻野恒一、杉本直人訳 白水社
 (一部分を参考にしただけであるが破瓜病の説明に関して新知識をえたので特におげておく)
ギー・パルマード 「精神療法」 三浦岱栄訳 白水社 1952
  (ビンスワンガーの哲学用語とハイデェッガーとの比較の上で参考となったもの)
メダルト・ボス 「精神分析と現存在分析論 」


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